抄録
穂発芽は作物における種子の品質低下につながることから、育種における重要な選抜対象形質である。穂発芽の程度は種子休眠の程度に依存し、休眠が浅いと、容易に穂発芽を引き起こす。我々はイネの種子休眠の遺伝的調節機構を解明するために穂発芽耐性QTLの単離に取り組むとともに容易に穂発芽を引き起こす突然変異系統の解析にも取り組んでいる。
ミュータントパネルデータベース(Tos17)から、易穂発芽を示す164系統を選び、穂発芽の程度を再確認したところ、40系統で明瞭な易穂発芽性が観察された。これらの中から、カロテノイドやABA合成に異常をきたしている可能性のあるアルビノや薄緑色を呈する系統を除き、16系統を選抜した。種子休眠あるいはABAシグナル伝達系路に関わる遺伝子あるいは関わると予想される遺伝子の配列を解読した。その結果、M25,M26およびM100の3系統は穂発芽耐性遺伝子Sdr4の変異体であることが判明した。また、M125系統はOsVP1 の変異体(32bpの欠失)であることが明らかとなった。OsVP1の変異を固定し、発現を解析した結果、Sdr4の発現レベルが低下していた。これまでに解析した易穂発芽系統の生理実験等の結果とあわせて報告する。