日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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光によって根毛形成が促進されるシロイヌナズナ突然変異体の単離と解析
*奈良 久美小林 和貴正岡 詩織小林 淳子中澤 美紀松井 南鈴木 均
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p. 0660

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抄録
高等植物の根毛形成は、光や植物ホルモン、活性酸素等、さまざまな環境刺激や内的シグナルによって調節されている。シロイヌナズナでは、光による根毛形成の促進にフィトクロムが関与していることが報告されているが、フィトクロムによる光受容と根毛形成をつなぐ分子メカニズムに関しては未だ不明な点が多い。そこで、光による根毛形成促進に関わる分子を特定するために、シロイヌナズナのアクチベーションタグラインから、光による根毛形成促進が過剰におこる突然変異体lrh1を単離し、その解析を行った。lrh1変異体では、一定強度(1~10 W m-2)の白色光照射下で育てた場合に、野生株よりも実生の根毛量が増加した。またlrh1変異体には、根毛形成以外にも、実生の胚軸や主根が短い、側根が少ない等、野生株と異なる形質が認められた。lrh1変異の原因因子を探るため、lrh1変異体のT-DNA挿入部位を特定したところ、3番染色体の2つのトランスポゾン関連の偽遺伝子の間にT-DNAが挿入されていることがわかった。ASRP及びAUSPデータベースを用いて調べたところ、T-DNA内のエンハンサーの影響で転写活性化が起きると予想される範囲には、300以上の低分子RNAの配列や9つのproproteinの配列が存在していた。現在、T-DNA挿入部位近傍の領域を過剰発現させ、その影響を解析しており、その結果を併せて報告する。
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© 2008 日本植物生理学会
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