日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ヒメツリガネゴケミトコンドリア移行型RecAタンパク質の機能解析
*小田原 真樹井上 貴之黒岩 晴子藤田 知道長谷部 光泰黒岩 常祥関根 靖彦
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p. 0701

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抄録
相同組換えは遺伝的多様性とゲノムの安定性に貢献する普遍的な機構である。RecAはほぼ全てのバクテリアに存在し、相同組換えにおいて極めて重要な役割を果たす組換えタンパク質である。このバクテリア型RecAタンパク質は植物の核ゲノムにも複数コードされており、葉緑体やミトコンドリアに移行することが明らかにされているが、その機能、役割に関しての知見は少ない。そこで我々は遺伝子ターゲッティングが可能なヒメツリガネゴケにRecAのオーソログを同定し(PpRecA1と命名)、その解析を行った。PpRecA1のN末端側とGFPの融合タンパク質はミトコンドリアに局在した。PprecA1は大腸菌のrecA遺伝子欠損によるDNA修復能の欠損を部分的に相補し、また、PprecA1の発現はDNA損傷剤処理により誘導されることから、PpRecA1は大腸菌RecAと類似した機能を持ち、DNA修復に関与することが示唆された。相同組換えによりPprecA1遺伝子を破壊した株を作成し野生株との比較を行ったところ、破壊株は生育遅延と形態異常を示すことが判明した。さらに解析を行った結果、PprecA1破壊株のミトコンドリアDNAは各所で高頻度に再編成を起こしていることが明らかになった。これらの結果は、PpRecA1がミトコンドリアゲノムの維持に貢献していることを示唆する。
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© 2008 日本植物生理学会
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