日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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接合菌Basidiobolusからの核の単離法の確立
*中村 美緒野村 港二
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p. 0725

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抄録
真核生物において、核はDNA複製や遺伝子発現に関わっている。動物細胞と植物細胞からの核の単離法は確立されており、核の機能に関する研究が進んでいる。しかし、菌類においては現在までに核が単離・精製された例はない。そこで本研究では、直径約3.0 μmの大きな核を持ち、培養が容易である接合菌綱Basidiobolus属菌を用いて、核の単離・精製法を確立した。
高純度の核画分を得るための細胞分画の条件として、菌体の磨砕法、緩衝液の組成、遠心力などについて検討した。その結果、potato-dextrose液体培地で6日間培養したBasidiobolusをプロトプラスト化してからTritonX-100を含む緩衝液中で磨砕し、オープニングサイズ20 μmのふるいで濾過することで、大まかな細胞の破片などが少なくなることが明らかになった。さらに、濾液を50 % glycerolを含む緩衝液に載せ、1500×gで10分間遠心することで、 直径0.3 μm以上の粒子のうち 72 ± 2 %が核である高純度の核画分を、沈殿として得ることができた。
単離核を走査型電子顕微鏡を用いて観察した結果、Basidiobolus属菌の核は丸く、大きさが1.5-3.0 μm と均一ではなく、表面に凹凸のある形態が確認できた。
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© 2008 日本植物生理学会
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