日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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タバコ葉緑体の同義コドン間の翻訳効率の測定
*杉浦 昌弘中邨 真之
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p. 0748

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抄録
高等植物の葉緑体ゲノムでは、普遍的遺伝暗号の全61種が使われている。全61種のコドンを識別するには32種以上のtRNA種が必要であるが、葉緑体ゲノムには30種のtRNA遺伝子しか存在せず、そのうちの2種は重複しており、細胞質からRNA分子が輸入される証拠もないので、28種のtRNA種で全コドンに対応していると考えられる。従って、コドンの識別様式は、真性細菌や細胞質とは異なっていることが考えられる。メチオニンとトリプトファンを除く18種のアミノ酸には2~6種のコドンが対応し、同義コドンの使用頻度は植物種により異なる。我々はタバコ葉緑体より高効率in vitro翻訳系を開発した。この系はmRNAの翻訳速度を求めることができるので、この系をもとに同義コドン間の相対翻訳速度を測定する手法を確立した。この手法を用いて解析を行い、9種の同義コドンを調べ、翻訳効率と使用頻度は相関していないことを見出した。従って、外来遺伝子を高発現させるため、宿主のコドン使用頻度に合わせたコドン最適化なるものが行われるが、再考を要する。
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© 2008 日本植物生理学会
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