日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉緑体 in vitro 翻訳系を用いた atpE mRNA 翻訳開始機構の解析
*黒田 洋詩鈴木 晴香湯川 泰杉浦 昌弘
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p. 0750

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抄録
葉緑体では光合成電子伝達系の駆動と共役した ATP 合成が行われている.その役割を担う ATP 合成酵素は葉緑体と核の両ゲノムにコードされた複数のサブユニットから構成されており,それらの遺伝子は協調的に発現すると考えられている.このうち,β サブユニットをコードする atpB 遺伝子と ε サブユニットをコードする atpE 遺伝子は,葉緑体ゲノム上でオペロンを形成している.atpEatpB のプロモーターから atpB と共転写されるが,atpB コード領域内に存在する atpE の独自のプロモーターからも単独で転写される.atpE mRNAからは SD 様配列に強く依存した翻訳が起こることが報告されているが,共転写された atpB-atpE mRNA から atpE が翻訳されるかは明らかになっていない.そこで我々はタバコ葉緑体由来の in vitro 翻訳系を用いて atpE の翻訳開始機構の解析を行った.その結果,atpB-atpE mRNA からも atpE が翻訳されることを確認した.次に,atpB-atpE mRNA からの atpE の翻訳開始に必要な mRNA 上の領域について解析した.その結果,SD 様配列以外にも atpE の翻訳開始に必要なシス領域があることが明らかになった.現在,この領域について詳細な解析を行っており,得られた結果について報告する.
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© 2008 日本植物生理学会
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