抄録
RNAi機構により合成された21~24 ntの短いRNA(siRNA)は分解されるターゲットmRNAへのガイド役としてだけでなく、一部の生物ではsiRNAの増幅機構にも関わるとされている。ヘアピンRNAより合成されたsiRNA(1次siRNA)がターゲットmRNAに結合すると、結合されたmRNAがRNA依存型RNAポリメラーゼ(RdRP)により2本鎖化される。ここで合成された2本鎖RNAはRNAiコンストラクトがターゲットとする領域以外の配列も含む。そのため、この2本鎖RNAからプロセシングされたsiRNA(2次siRNA)は1次siRNAとは異なるターゲット領域に対応した配列を有している。このようにしてターゲット領域が広がっていくRNAi機構はtransitive RNAiと呼ばれている。植物では、transitive RNAiにより1次siRNA結合部位の5’上流、3’下流のどちらにも2次siRNAが合成される場合と、3’下流のみ合成される場合が報告されている。1次siRNA結合部位の5’上流に2次siRNAが合成されなかった原因として、鋳型の3’末端側から相補鎖RNAを合成するRdRPの伸長活性の限界により、5’側まで相補鎖RNAが合成されなかったなどの説が考えられているが、詳しい機構については不明である。そこで本研究では2次siRNAの遷移性について調べるため、同じ遺伝子の異なる領域をターゲットとする4つのRNAiコンストラクトを用意し、それぞれのコンストラクトにより合成される2次siRNAのターゲット領域について検討した。