日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナSnRK2プロテインキナーゼの相互作用因子の探索とネットワーク解析
*梅澤 泰史溝口 昌秀Peck Scott C.藤田 泰成篠崎 和子篠崎 一雄
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p. 0766

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抄録
SNF1-related protein kinase 2(SnRK2)は、植物に固有のプロテインキナーゼであり、高浸透圧やアブシジン酸(ABA)によって活性化される特徴を持っている。シロイヌナズナにはSnRK2ファミリーが10個存在し、それぞれSRK2A~J、あるいはSnRK2.1~10と呼ばれている。近年、シロイヌナズナにおいていくつかのSnRK2の機能解析がなされ、気孔の閉鎖や発芽・ストレス応答等におけるそれぞれの制御機能が明らかとなってきた。たとえば、SRK2E(OST1)はABAによって活性化され、ABA依存的な気孔閉鎖を正に制御する。また、SRK2DやSRK2Iは種子もしくは植物体において、ABAシグナルを正に制御する。SnRK2はABAや高浸透圧によって活性化することから、植物のストレス応答における情報伝達ハブ分子のような働きを担うのではないかと考えられている。そこで本研究では、SnRK2の上流・下流因子を同定することを目的として、SnRK2の相互作用タンパク質の探索を試みた。方法としては、1)酵母ツーハイブリッドスクリーニング、2)免疫沈降によるタンパク質複合体解析、3)リン酸化プロテオーム解析を組み合わせて研究を進めている。特に、3)についてはABAによって活性化するSRK2E/D/Iの二重変異体あるいは三重変異体を用いて解析を行い、SnRK2の基質を同定することを目指している。本発表では、SnRK2の相互作用タンパク質同定と制御ネットワークの解明に向けたこれらの取り組みと成果について紹介する。
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© 2008 日本植物生理学会
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