日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネクロライドチャンネルが担う機能
*田中 喜之中村 敦子小川 雅文福田 篤徳
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p. 0813

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抄録
イネから5個のクロライドチャンネル遺伝子を見いだしているが、そのなかのOsCLC-1およびOsCLC-2についてTos17の挿入によりそれぞれの遺伝子が破壊されたイネを用い、これらが担う機能を解析した。高塩濃度環境では植物体内に多量のNa+ を蓄積する。この時カウンターイオンとしてCl-も蓄積する。OsCLC-1破壊イネでは耐塩性に影響が無く、OsCLC-2破壊イネでは根、葉ともに耐塩性が低下した。Cl-含量が低下せずCl-輸送が阻害されたためではない。OsCLC-2破壊に由来することを確かめるためOsCLC-2あるいはOsCLC-1 cDNAを導入し耐塩性を調べたところ、いずれのcDNAによっても耐塩性が回復した。これら遺伝子破壊イネでは栄養要求性にも差が見られた。水耕法による生育において栄養成分を低下させるとOsCLC-2破壊イネ根の生長が大きく阻害された。それぞれのイオンに対する要求性が大きく低下することはなかったが、硝酸イオンに対する要求性が高くなっていた。耐塩性の場合と同様OsCLC-2あるいはOsCLC-1 cDNAの導入により要求性が回復した。OsCLC-1の破壊による栄養要求性に変化はなかった。施肥量を0あるいは1/10に減少させた圃場における生育調査においてもOsCLC-2破壊イネの生長が抑制され、節間長、種子形、稔実率などに差異が見られた。OsCLC-1破壊イネおよびOsCLC-1-2がともに破壊された二重変異体では、生長に大きな差はなかった。
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© 2008 日本植物生理学会
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