日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ABAシグナル伝達を介した塩ストレス応答はヒメツリガネゴケと種子植物の間で進化的に保存されている
*西川 友梨小松 憲治太治 輝昭田中 重雄坂田 洋一
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p. 0819

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抄録
種子植物においてアブシジン酸 (ABA)は、植物種子の発達制御や乾燥・浸透圧・塩などの水ストレス応答において重要な働きを担っている。2C型脱リン酸化酵素(PP2C)をコードするシロイヌナズナABI1は、上記のABA機能の多くを制御する重要なシグナル伝達因子である。一方、基部陸上植物であるコケ植物ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)においてもABAが存在することが明らかとなっているが、その生理的役割については不明な点が多い。我々はABI1相同遺伝子(PpABI1A)がヒメツリガネゴケにも存在し、PpABI1Aの遺伝子破壊株(PpABI1A KO)がABA高感受性を示すことを明らかにし、コケ植物においてもPP2Cを介したABAシグナル伝達系が存在することを昨年度大会で報告した。コケ植物におけるABAの生理的役割を明らかにするために、ABA高感受性であるPpABI1A KO株の示す表現型について解析を行ったところ、現在までに塩ストレスに対して、PpABI1A KO株がWTよりも強い耐性を示すことが明らかとなっている。このことは、初期の陸上植物においてABAシグナル伝達系による塩ストレス応答がすでに確立されていたことを示唆している。
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© 2008 日本植物生理学会
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