日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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キチンエリシターシグナル伝達を媒介するイネLysM受容体キナーゼの解析
*中野 拓人伊藤 早紀宮崎 秀夫出崎 能丈清水 健雄西澤 洋子南‐石井 尚子清水 崇史岡田 憲典山根 久和南 栄一賀来 華江澁谷 直人
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p. 0830

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抄録
我々は最近シロイヌナズナ変異体を用いた解析から、新規受容体様キナーゼCERK1(Chitin Elicitor Receptor Kinase)がキチンエリシターシグナル伝達に必須な分子であることを示した1)。イネにはCERK1と類似した配列を持つOsLysM-RLK遺伝子が10個存在するが、この中で最も高い相同性をもつOsLysM-RLK9に着目し、そのノックダウン形質転換体(OsLysM-RLK9-RNAi)を用いて解析を行った。得られたOsLysM-RLK9-RNAiラインは、いずれもOsLysM-RLK9の発現量が非形質転換体に比べて減少したが、細胞表面のキチンエリシター受容体であるCEBiP(Chitin Elicitor Binding Protein2))の発現量には変化が認められなかった。またこれらのOsLysM-RLK9-RNAiラインではほぼ完全にキチンエリシターに対する活性酸素応答が消失し、モミラクトンBなどのファイトアレキシンの生成もほぼ完全に抑制されていた。これらの結果は、OsLysM-RLK9が何らかの形でCEBiPと共同することによりイネのキチンエリシターの細胞内へのシグナル伝達を行っていることを示唆している。 1)Miya et al., PNAS, in press; 2)Kaku et al., PNAS, 103, 11086 (’06)
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© 2008 日本植物生理学会
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