日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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糸状体ラン藻Oscillatoria brevisの重金属輸送体bxa1遺伝子のCdストレスに関する機能解析
*中木原 江利近藤 秀樹中島 進江崎 文一
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p. 0909

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抄録
我々は、O. brevisの重金属イオン輸送体であるbxa1遺伝子を単離同定してきた。Bxa1はCPx-ATPaseであり、Ag, Cu, Cd, Znを輸送可能な蛋白質である。このbxa1遺伝子について、酵母形質転換体を用いて重金属ストレスに対する以下の機能解析を行った。
bxa1導入株はベクターpYES2導入株(コントロール株)に比べ、液体・固形の両培地でCdにのみ感受性になり、bxa1を過剰発現させるとCdストレスの有無に関係なく生育が著しく阻害された。bxa1株では細胞の大きさや形状などの形態学的変化も観察された。また、Cd処理によってコントロール株では液胞の分裂が起こるのに対し、bxa1株では分裂しなかった。さらに、Bxa1::mGFPの融合蛋白質は主にEndoplasmic reticulum(ER)膜に局在していた。これらのことから、Bxa1のERへの局在がERの機能の低下やCd感受性をもたらすと考えられた。
N末アミノ酸を欠失させたbxa1遺伝子(Δ10及びΔ35)を作製し、Bxa1の酵母細胞内での局在の変更とN末領域の役割の解明を試みた。その結果、N末領域は輸送活性の制御に関連することが示唆された。現在、大腸菌の形質転換体を作製し、N末部分の役割を明らかにするための研究をおこなっている。
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© 2008 日本植物生理学会
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