日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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湛水条件下におけるダイズの防御組織形成
*山本 亮島村 聡平賀 勧中山 則和中村 卓司小松 節子
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p. 0924

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抄録
日本ではダイズの9割以上が水田転換畑で栽培されているので、排水の悪い畑も多く湿害が起こりやすい。湿害は低酸素による根の機能障害と病害の増加が原因であるとされる。病害増加の原因として病原菌の増加が挙げられるが、ダイズ自体の機能障害が病害応答に影響を与えていることも考えられる。ダイズを湛水条件で栽培すると内皮に相当する組織から二次通気組織と呼ばれるスポンジ状の組織が形成される。二次通気組織が発生する細胞層は防御組織である周皮が発生する細胞層と一致するから、湛水条件下で病原菌に侵入されたダイズは防御組織を形成できずに侵入されてしまう可能性もある。そこで湛水条件で栽培したダイズに病原菌を接種した場合に、周皮形成が起こるのかどうかを観察した。病原菌としては水田転換畑で発生の多い黒根腐病菌を用いた。
二次通気組織に接種された黒根腐病菌は二次通気組織の巨大な細胞間隙を通過して容易に分裂組織にまで至った。これに対して通気組織のうち分裂組織は周皮を形成し、形成された周皮は菌糸の侵入を妨げた。このことはダイズにとって合理的ではあるが、通気組織を放棄することで将来的には根系が低酸素になることが予想される。現在、通気組織の形成途中で菌を接種する実験を行っており合わせて報告する。
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© 2008 日本植物生理学会
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