日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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SAR誘導性のWRKY転写因子の発現に及ぼす環境ストレス応答の影響
*安田 美智子河井 妙保草島 美幸仲下 英雄
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p. 0926

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抄録
植物は病原菌や天候の変化など常に生物的・非生物的ストレスにさらされている。これらのストレスに適応するために植物は独自の自己防御機構を発達させてきた。全身獲得抵抗性(systemic acquired resistance, SAR)は病原菌の二次感染を抑制する防御機構であるが、アブシジン酸(ABA)を介する環境ストレス応答を感知した植物ではこの防御機構が抑制されることが明らかになってきた。本研究では、この病害抵抗性抑制機構の詳細を明らかにするために、植物の耐病性に関与するWRKY転写因子の解析を行った。SARの誘導には2種類のSAR誘導化合物(benzisothiazole, BIT、benzothiadiazole, BTH)を用い、これらの化合物に応答するWRKY転写因子をマイクロアレイから探索した。その結果、BIT応答性WRKYを16個、BTH応答性WRKYを13個見出した。これらのWRKYについて定量的RT-PCRで発現解析を行なった結果、ABAの共処理により発現が抑制されるものがBIT応答性で6個、BTH応答性で 3個特定された。また、ABA生合成阻害剤AbamineはSAR誘導剤の効果を増強することが明らかになってきたが、これらのWRKYの発現もAbamineとSAR誘導剤の共処理により発現が上昇することから、ABA濃度依存的に発現が調節されていることが示された。現在、顕著な差が認められたWRKY遺伝子について欠損変異株を用いて、SAR誘導と環境ストレス応答について解析している。
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© 2008 日本植物生理学会
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