日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナDAD1遺伝子の傷害時における発現制御領域の解析
*大野 彰子石井 礼子中村 研三石黒 澄衞
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p. 0950

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抄録
ジャスモン酸 (JA) は植物が食害や傷害を受けたときに急速かつ多量に生合成される植物ホルモンで、食害の進行や病原菌の感染を防ぐのに必要なさまざまな応答反応を誘導する働きがある。しかし、食害や傷害によるJA生合成の活性化がどのようにして起きるのかはよくわかっていなかった。一方 JA は葯の裂開や老化の促進にも関与することが知られており、我々はシロイヌナズナの雄しべではDEFECTIVE IN ANTHER DEHISCENCE1 (DAD1) がJA生合成に必須の働きを持つリパーゼであることを明らかにしていた。その後の解析で、DAD1遺伝子は傷害でも発現誘導されること、dad1とそのパラログとの多重変異体では傷害によるJAの生成量が低下することが明らかになり、DAD1 は JA の傷害誘導にもその調節点として重要な働きを持つことがわかってきた。そこでDAD1遺伝子の傷害応答に必要な発現制御領域の同定を目的として研究を行った。
DAD1遺伝子のコード領域をGUSに置き換えた遺伝子を作製してシロイヌナズナに導入し、傷害を加えたロゼット葉でのGUSの発現を指標にして発現制御領域を解析した。その結果、遺伝子の 5’ 側にある雄しべ(花糸)での発現に必要な領域は傷害誘導には必要なく、そのかわり遺伝子の 3’ 側にある領域が必要であることが明らかになった。この領域はTATA box の 5’ 側に直接つないだ場合でも下流の遺伝子の発現を傷害依存的に活性化することができた。
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© 2008 日本植物生理学会
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