日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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傷害時のジャスモン酸生合成におけるシロイヌナズナDAD1 およびDAL 遺伝子群の機能解析
*村田 聡子服部 一樹松林 嘉克中村 研三石黒 澄衞
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p. 0949

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抄録
ジャスモン酸 (JA) は、植物体に傷害を与えると一過的かつ多量に生合成され、抵抗性反応を誘導する植物ホルモンである。JA生合成の最初のステップを触媒するリパーゼとして、我々は開花直前の蕾で発現して開花や葯の裂開を促すDAD1を同定しているが、この遺伝子を欠損させても傷害時のJAの生合成量はやや減少する程度であり、JA生合成に働くリパーゼは他にも存在すると推定された。本研究ではこのようなリパーゼの同定を目的とし、DAD1 のパラログであり葉緑体局在型のリパーゼをコードするDAL 遺伝子群 (DAL1 -DAL6 )に着目して解析を行なった。dad1 およびdal 多重変異体を作成してロゼット葉に傷害を与え、JA応答性遺伝子の一つであるVSP2 の発現量を傷害4時間後の値で比較すると、dad1 およびdal3 の単独遺伝子破壊株ではそれぞれ野生型の約4分の1および約2分の1、dad1 dal3 二重変異体では約7分の1、dad1 dal2 dal3 dal4 四重変異体では約10分の1まで減少しており、傷害時のJA生合成においてDAD1とDALが重要な役割を果たしていること、特にDAD1とDAL3の寄与が大きいことがわかった。しかし、傷害90分後のJA生成量を比較するとdad1 dal2 dal3 dal4 四重変異体で野生型の約2分の1であったことから、他のリパーゼの存在も示唆された。
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© 2008 日本植物生理学会
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