日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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青枯病菌感染に対する防御応答におけるアスパラギンリッチタンパク質の関与
*小森 大輔大西 浩平曵地 康史吉岡 博文木場 章範
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p. 0959

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抄録
ナス科青枯病菌Ralstonia solanacearum(Rs)に対する植物防御を解析することを目的に、Rs非病原性変異株MINE接種タバコ葉より調製した均一化cDNAライブラリーを鋳型にDifferential displayを行った。そのうちAsnリッチ構造を持つNtARP (Nicotiana tabacum Asparagine-rich protein)およびNicotiana benthamiana由来のオルソログNbARPに着目した。NtARPおよびNbARProlB応答遺伝子のROX1やアラビノガラクタンタンパク質(AGP)と相同性を示し、RsMINE接種およびH2O2処理タバコ葉において発現が強く誘導された。NbARPサイレンシング植物では病原性Rs接種で誘導される萎凋症状の進展が促進された。また、非病原性Rs接種で顕著に誘導されるPR-4の発現が抑制されたが、逆にPR-1aの発現が誘導された。一方、過敏感反応はコントロール植物、NbARPサイレンシング植物とも認められ、NbARPのサイレンシングによる影響は観察されなかった。ROX1やAGPは維管束の形成や情報伝達に関与することが報告されている。このことから、NtARPおよびNbARPは維管束の分化の調節により発病に関連している、あるいはRsの感染に応答した防御応答情報伝達に関連している可能性が示唆された。
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© 2008 日本植物生理学会
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