日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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GABAを強化した遺伝子組換え米の作出と高血圧ラット (SHR)を用いた血圧降下作用の検討
*赤間 一仁小宮 正明金藤 純子下崎 俊介
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p. 1002

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抄録
グルタミン酸からのGABA合成を触媒するグルタミン酸脱炭酸酵素 (GAD)はそのC末端側にCa2+/カルモジュリン結合部位(CaMBD)を持ち、細胞内のCa2+/CaMがその活性調節に重要な役割を担っている。ところが、イネはCaM結合能のない新規なGAD (OsGAD2)を持ち、そのC末端ペプチド領域を欠失させることにより、in vitroin vivoいずれでもその酵素活性が10倍以上も上昇した。更に、この改変OsGAD2 cDNAをイネグルテリン遺伝子(GluB-1)プロモーターと連結したキメラ遺伝子を構築し、形質転換イネを作出してその玄米中のGABA含量を調べた結果、野生型に比べてGABAが高度に蓄積することを一昨年の本大会で報告した。今回、形質転換イネ4系統(T3世代)を選抜して特定網室で試験栽培を行い、成分分析と動物試験を行ったので報告する。精白米レベルで、組換え体は野生型に比べてGABA含量が3~30倍の増大が見られた。また、多くのタンパク質性アミノ酸の含量も増大していた。組換え系統47-52由来のGABA富化米(15 mg GABA/100g)の機能性を検討するため、高血圧自然発症ラット(SHR)に直接経口投与して血圧に与える影響を調べた。SHRにGABA富化米、野生型米、精製GABA添加米をそれぞれ6週間反復直接経口投与し、個体ごとに尾静脈圧を毎週測定(計7回)してその変動を記録した。この結果、GABA富化米では投与4週目、5週目、6週目において統計的に有意な血圧上昇の抑制作用が認められた。
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© 2008 日本植物生理学会
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