抄録
重金属等の有害物質による土壌汚染は世界的に深刻な問題となっており、様々な対応策が検討されている。中でも、植物による環境浄化技術(Phytoremediation)は、環境負荷の少ない処理技術として注目を集めている。本研究では、毒性の強い有機水銀の浄化を目的として、水銀耐性菌Pseudomonas K-62由来の有機水銀リアーゼ遺伝子MerBとKlebsiella aerogenes由来のポリリン酸合成酵素遺伝子PPKを連結させたオペロンを構築し、タバコ(Nicotiana tabacum)葉緑体ゲノムに遺伝子導入した。MerBはリアーゼ反応により有機水銀を無機水銀Hg2+へ変換する活性を持ち、PPKが合成するポリリン酸は二価の重金属とキレート複合体を形成して蓄積する。従って、両遺伝子を導入した形質転換植物では、根から吸収された有機水銀が、キレート複合体として葉緑体内に蓄積されることによって、植物体に水銀耐性を付与することが期待される。これまでに上記の遺伝子群を導入した葉緑体形質転換株は取得しており、現在、導入遺伝子の発現量や有機水銀耐性能・蓄積能等の解析を進めている。