抄録
植物は移動の自由がないため、乾燥、低温、塩などのストレスに対する独自の適応機構を備えている。これまでにDNAマイクロアレイ法などを用いて、乾燥、低温、塩などのストレスに対して応答する植物遺伝子が多数単離され、それらの機能が同定されつつある。しかしながら、アンチセンスRNA、non-coding RNA、small RNAやクロマチンリモデリングなどのストレス応答機構における役割に関してはまだ多くの点が不明なままである。
全ゲノムタイリングアレイ解析や新世代の超高速シーケンシングシステムを用いた解析は、全ゲノムトランスクリプトームの解析方法の1つとして最近注目されてきている。これまでにシロイヌナズナ全ゲノムタイリングアレイを用いて、乾燥、低温、塩などのストレスやABA処理(2時間および10時間)したサンプルを用いて解析したところ、ストレス応答性の新規な転写産物やアンチセンスRNAが多数存在することが明らかになった。また、454 Life Sciences社の高速シーケンサーを用いたsmall RNAの大量解析から、ストレス応答性のsmall RNAを幾つか同定した。同定されたストレス応答性の機能性RNAに関して、現在機能解析を進めている。