抄録
RNA編集はセントラルドグマを逸脱し、遺伝情報をRNA上で書き換えるものである。高等植物ではプラスチドとミトコンドリアにおいてCからUへの置換が頻繁に見られる。編集を受けるC残基は正確に認識されるが、その過程には編集部位周辺の配列(シス因子)が関わることが知られている。シス因子の間には本質的に保存配列がなく、それぞれの編集部位は独立のトランス因子により認識されることが示唆さていた。高等植物には、プラスチドとミトコンドリアを合わせると500程度のRNA編集部位が存在する。いかなるメカニズムでそれらが独立に認識されるのであろうか?我々は、光合成電子伝達に異常を示すシロイヌナズナ突然変異株の解析から、少なくとも葉緑体の一部のRNA編集においてPPRタンパク質がトランス因子の実体であることを明らかにした。本シンポジウムの主役であるPPRファミリーは、高等植物で500近いメンバーからなる巨大なものである。高等植物におけるRNA編集部位の増加は、PPRファミリーの巨大化と関係していそうである。PPRファミリーのメンバーは、RNA編集以外にも様々なRNA成熟化過程に関わっている。一部のメンバーがいかにRNA編集に関わることになったのか考察したい。