日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉緑体分裂と核様体の形態に関与するYLMGタンパク質の機能解析
*壁谷 如洋中西 弘充鈴木 健二市川 尚斉松井 南宮城島 進也
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p. 0144

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抄録
葉緑体はシアノバクテリアの祖先種の細胞内共生によって生じたと考えられ、分裂によって増殖する。現在まで、葉緑体の分裂にはFtsZやダイナミンなどいくつかの共生体由来のタンパク質と宿主由来のタンパク質が関与していることが明らかになっている。私たちは、以前シロイヌナズナのFOX hunting systemから、YLMGタンパク質が過剰発現して葉緑体が巨大化した株を単離した。YLMGタンパク質は、バクテリアや藻類、緑色植物に広く存在し、マラリア原虫にも保存されているタンパク質であるが、機能は明らかになっていない。YLMGタンパク質の機能解析を行うために、新たにアンチセンスによるYLMG発現抑制体を作製し、観察を行った。発現抑制体は、若い葉が黄色くなるという表現型を示したが葉緑体の大きさに影響はなかった。また、葉緑体核様体を観察したところ、野生株では核様体は数十の顆粒状として存在するが、発現抑制体では葉緑体中央に2,3個の大きな核様体が観察された。そこで、過剰発現体でも葉緑体核様体を観察してみると、核様体は網目状になっていた。このことから、YLMGは核様体の形態に関与すると考えられた。抗体を作製し、免疫蛍光染色によってYLMGの局在を調べたところ、YLMGは葉緑体内に顆粒状に存在していた。現在、YLMGと核様体の関係を調べているので、それらを合わせて報告したい。
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© 2009 日本植物生理学会
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