日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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光化学系IIコア蛋白質における第一キノン電子受容体QAの再構成
*梢 雄多高野 晃鈴木 博行杉浦 美羽野口 巧
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p. 0162

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抄録
光化学系II(PSII)おいて、第二キノン電子受容体QBは弱く結合しており、二電子還元によりPSIIから遊離し、別のプラストキノン(PQ)と置き換わる。一方、第一キノン電子受容体QAは強く結合しているため容易に交換されず、その再構成のためには、コア蛋白質を構成するサブユニットの分離と再構成が必要であると考えられてきた。本研究では、PSIIコア蛋白質のサブユニット構造を保持したまま、PQ によるQAの再構成を試みた。ジチオナイト処理によりQAを除去したシアノバクテリアT. elongatusのPSIIコア蛋白質にPQを過剰に加え、室温で24時間放置した。210 KにおいてQAの光還元によるフーリエ変換赤外(FTIR)差スペクトルを測定することにより、活性のあるQAの量を評価した。その結果、PQ添加により70%以上のQAが再構成されることが示された。また、再構成したQAのFTIRスペクトルはコントロールスペクトルと基本的に同じであったことから、PQはQA部位に正しく再結合し、本来の蛋白質との相互作用構造を回復したことが示された。PQの再結合は、13CラベルしたPQの添加により、PQ由来のFTIRバンドが低波数シフトすることによっても確認された。PSIIにおけるQAの再構成は、蛋白質中におけるQAの相互作用の詳細と酸化還元反応のメカニズムの解明に極めて有用な手段になると考えられる。
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© 2009 日本植物生理学会
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