抄録
窒素は、イネの成育にとって不足しやすい栄養素であり、収量を大きく左右する要因のひとつである。イネの窒素利用において、NADH依存性グルタミン酸合成酵素1(NADH-GOGAT1)は、吸収したNH4+の初期同化並びに、未抽出葉身や穂において老化器官から転流してきたGlnの再同化に関与すると考えられてきた。本研究では、NADH-GOGAT1の機能を証明する目的で、NADH-GOGAT1の機能欠損イネを獲得し、生理学的な解析を行った。
OsNADH-GOGAT1遺伝子にレトロトランスポゾンTos17が挿入された系統について、リアルタイムRT-PCR法並びにウエスタンブロッティング法により、NADH-GOGAT1のmRNAとタンパク質がそれぞれ検出できないことを確認した。 NADH-GOGAT1欠損変異体(nadh-gogat1) の幼植物では、5 mM NH4Cl供給後、根の伸長が抑制され、また根における遊離NH4+の蓄積量が増加し、Glu, Asn, Aspなどの遊離アミノ酸の蓄積量は野生型より減少した。
nadh-gogat1を水田にて栽培した場合、野生型と比較して稈長や穂数が減少し、地上部乾物重も野生型の約70%に低下した。現在、根における植物ホルモンの解析を進めるとともに、NADH-GOGAT1の収量に与える影響を調べるために収量構成要素を測定している。