日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Anabaena sp. PCC 7120における初期ヘテロシストパターンの形成機構の研究
*豊島 正和佐々木 直文藤原 誠佐藤 直樹
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p. 0477

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抄録
糸状性シアノバクテリアには、窒素飢餓状態になるとヘテロシストを形成するものがある。ヘテロシストは窒素固定に特化しており、分裂しない。Anabaena sp. PCC 7120はヘテロシスト形成のモデルとして、遺伝学的・生理学的研究に詳しく研究されてきた。この糸状体は約10細胞に1個という間隔でヘテロシストを形成し、1本の糸状体の中で光合成と窒素固定を分業している。ヘテロシスト分化については、関連する多くの遺伝子が同定されており、ヘテロシスト分化において細胞分裂が必須であるという報告もある。また、これまでの研究は、振とう培養によって得られるヘテロシスト間距離をヘテロシストから栄養細胞への窒素供給や阻害物質分泌による細胞分化阻害によって説明するものであった。最初にヘテロシストに分化する細胞の決定はランダムと見なされていた。本研究では、Anabaena sp. PCC 7120 を用い、ヘテロシスト分化の過程を継時観察する方法を確立し、ヘテロシストパターンの経時的変化、ヘテロシスト分化とフィコビリン蛍光との関係、将来ヘテロシストに分化する細胞の窒素飢餓開始時における位置などのデータをもとに、窒素飢餓開始時における4細胞のセットがヘテロシスト分化に重要であることを明らかにし、ヘテロシストパターン形成について新たなモデルを提案する。
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© 2009 日本植物生理学会
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