日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ミトリササゲ胚軸細胞壁からのレクチン様タンパク質の単離と解析
*中里(岡本) 朱根
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p. 0492

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抄録
ミトリササゲ下胚軸の伸長成長部域より、トリプシン処理ウサギ赤血球凝集活性を指標に、各種クロマトグラフィーを用いて分子量25kDのレクチン様タンパク質を単離した。そこで仮にVigna lectin 25(VL25)と名づけたそのタンパク質の性質について報告する。
VL25の赤血球凝集活性には強いpH依存性があり、pH7のリン酸緩衝液中では活性を示したが、pH5以下では全く活性を示さなかった。またVL25の赤血球凝集作用はガラクトースの添加によって阻害された。
抗イールディン(Yieldin;YLD)抗血清を用いたwestern blotting解析の結果、抗YLD 抗血清がVL25を認識したことから、VL25とYLDは共通の分子構造を有していることが示唆された。YLDはミトリササゲ由来の、細胞壁の力学的性質の調節に寄与していると考えられている、分子量約30kDの細胞壁結合性タンパク質である。
以上の結果から、VL25は、YLDの一部か、ごく近縁のタンパク質で、ガラクトース結合性レクチン活性を持つものであると考えられる。従ってその解析を通じてYLD作用機構の解明の糸口が得られる可能性がある。
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© 2009 日本植物生理学会
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