抄録
ミトリササゲ下胚軸の伸長成長部域より、トリプシン処理ウサギ赤血球凝集活性を指標に、各種クロマトグラフィーを用いて分子量25kDのレクチン様タンパク質を単離した。そこで仮にVigna lectin 25(VL25)と名づけたそのタンパク質の性質について報告する。
VL25の赤血球凝集活性には強いpH依存性があり、pH7のリン酸緩衝液中では活性を示したが、pH5以下では全く活性を示さなかった。またVL25の赤血球凝集作用はガラクトースの添加によって阻害された。
抗イールディン(Yieldin;YLD)抗血清を用いたwestern blotting解析の結果、抗YLD 抗血清がVL25を認識したことから、VL25とYLDは共通の分子構造を有していることが示唆された。YLDはミトリササゲ由来の、細胞壁の力学的性質の調節に寄与していると考えられている、分子量約30kDの細胞壁結合性タンパク質である。
以上の結果から、VL25は、YLDの一部か、ごく近縁のタンパク質で、ガラクトース結合性レクチン活性を持つものであると考えられる。従ってその解析を通じてYLD作用機構の解明の糸口が得られる可能性がある。