日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

ABI5のSUMO化によるアブシジン酸シグナルの調節
*三浦 謙治Lee JiyoungJin Jing BoYoo Chan Yul三浦 友子Hasegawa Paul M.
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0533

詳細
抄録
我々は翻訳後修飾因子であるSUMO (Small ubiquitin-related modifier)の研究を行っているなかで、シロイヌナズナにおけるSUMO E3 ligase SIZ1がABA(アブシジン酸)シグナルを調節していることを明らかにした。SUMOは14kDaからなるタンパク質で、E1, E2, E3タンパク質によって基質タンパク質に結合する。このうちE3タンパク質SIZ1の変異株siz1は発芽、根の伸長においてABA感受性を示した。いくつかのABA応答性遺伝子がsiz1変異株では強く誘導されていたことから、SIZ1はABAシグナルを負に調節していることが示唆された。bZIP転写因子ABI5の変異株abi5との二重変異株siz1 abi5の解析からSIZ1とABI5が遺伝学的にエピスタティックな関係にあった。SIZ1はSUMO E3であることからABI5のSUMO化をin vitroおよびin vivoで調べたところ、ABI5の393番目のリジン残基がSUMO化されることが明らかとなった。SUMO化部位に変異を導入したABI5K391R発現植物体ではsiz1変異株と同様、発芽時にABA感受性を示し、またABA応答性遺伝子が強く誘導されていた。これらの結果から、SIZ1によるABI5のSUMO化がABAシグナルを負に調節することが明らかとなった。
著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top