日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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海洋性中心目珪藻Thalassiosira pseudonana における光化学系タンパク質複合体の解析
*得津 隆太郎皆川 純
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p. 0605

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抄録
珪藻は、海洋全域に生息している主要植物プランクトンでる。彼らは、海洋の炭素固定量の約40%を担い、地球の炭素循環系において重要な位置を占める。最近、実験室内での培養が容易な珪藻種を用いた、光化学系タンパク質の単離及び生化学的解析が報告されている。しかし、海洋での生息域がより広範囲で、海洋生態系への影響力が大きい珪藻種の光合成器官については殆ど解明されていない。Thalassiosira pseudonana は、全海域に生息し、近年ゲノム構造が解明された唯一の中心目モデル珪藻として注目されている。そこで、本研究ではT. pseudonana の実験室内培養系を確立し、チラコイド膜の単離を行い、モデル珪藻における光化学系タンパク質の詳細を解析した。通常、珪藻の培養には天然海水が用いられるが、採水海域・季節により培地組成に差異が生じるため、本研究では新たに人工海水を開発し、一定の培養条件を確立した。大量培養した細胞から単離したチラコイド膜を、界面活性剤(n-dodecyl-β-D-maltoside)で可溶化した上で、ショ糖密度勾配超遠心法により、光化学系タンパク質複合体 (フコキサンチン-クロロフィルタンパク質、光化学系II及び光化学系I超複合体) を分画した。HPLCによる色素解析及び質量分析によるタンパク質組成解析を基に、これらの光化学系複合体の特徴について議論する。
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© 2009 日本植物生理学会
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