日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネにおけるベタインアルデヒド脱水素酵素の機能解析
*横田 有香三屋 史朗尾崎 啓子藤原 崇志高倍 鉄子
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p. 0919

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抄録
適合溶質であるグリシンベタインが細胞内に蓄積することで、植物の耐塩性や耐乾性は向上する。ベタインアルデヒド脱水素酵素(BADH)は、植物におけるグリシンベタイン合成経路の最終段階を触媒する。イネはグリシンベタインを蓄積しない植物であるにもかかわらず、BADHを保持しており、イネにおけるBADHの機能は未知である。本研究では、植物体におけるBADHの新たな機能を探ることを目的として、イネのリコンビナントBADHタンパク質を作製し、精製した酵素を用いていくつかのアルデヒドに対する酵素活性を測定した。その結果、他の植物でこれまでに報告されているBADHと同様、イネのBADHもグリシンベタインの前駆体であるベタインアルデヒド、ポリアミン代謝系の中間産物である4-アミノブチルアルデヒドや3-アミノプロピオンアルデヒド、カルニチンの前駆体である4-N-トリメチル -アミノブチルアルデヒドを基質として用いることが明らかとなった。また、本研究により新たにエタノール代謝により発生するAcetaldehydeも基質として用いることが明らかとなり、イネBADHは植物体内でアルデヒドの解毒に広く関与している可能性が示唆された。
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© 2009 日本植物生理学会
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