抄録
Small Acidic Protein 1 (SMAP1)遺伝子は、アンチオーキシン抵抗性変異体aar1の原因遺伝子で、合成オーキシン2,4-Dの応答機構にも関わる因子として同定された遺伝子である。これまでの研究から、SMAP1は、2,4-D情報伝達系においてAUX/IAAタンパク質の分解より上流のステップで機能すると推定されていた。そこで、SMAP1の機能を解明する為に、aar1変異体と既知のオーキシン関連変異体との間で交配を行い、二重変異体の作出をおこなった。その結果、aar1-1 tir1-1、aar1-1 ecr1-1、aar1-1 aar3-2といった二重変異体では、根において相加的な2,4-D感受性の低下を示した。一方、axr1 aar1二重変異体では、根端分裂組織が形成されないなど著しい形態異常がみられた。同様の形態異常は、axr1-12変異体にSMAP1の発現をRNAiで抑制した形質転換体を掛け合わせたときも観察された。またaxr1-12変異体にSMAP1-GFP融合タンパク質を35Sプロモーターで過剰発現させると、矮化、多分枝、花の形態異常、稔性の低下、オーキシン感受性の低下などの、axr1-12変異体の特性が、緩和されることがわかった。以上の結果より、SMAP1の機能はAXR1の機能と密接に関係している可能性が示唆された。