日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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GDP-マンノースエピメラーゼ過剰発現タバコの作出と解析
*今井 剛伴 雄介山本 俊哉森口 卓哉
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p. 0161

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抄録
GDP-マンノースエピメラーゼ(GME)は、GDP-マンノースのD-マンノース残基の3位と5位の水素、水酸基の立体配置を反転させ、L-ガラクトース残基に変換する酵素である。生成したGDP-L-ガラクトースはL-ガラクトースを経て、主にL-アスコルビン酸(Asc)の合成に利用されると考えられている。この経路は植物と一部の藻類に特異的であり、GMEの反応はAsc合成への分岐点の反応として重要であると考えられる。
モモのGMEは満開40日目ころの果実で転写産物が多かった。今回、モモのcDNAをタバコSR1系統に導入し、過剰発現させた形質転換体を作出した。35個体のKm耐性個体のうち、10系統でRNAの過剰発現が見られた。一部について、培養植物の葉から硫安分画した抽出物に14CラベルされたGDP-マンノースを与え、2時間反応後加水分解し、薄層クロマトグラフィーで糖を分離し、放射活性を検出することでGME活性を検討したが、薄層クロマトグラフィーの分離がサンプル間で均一ではなく、正確な結果を得られなかった。大腸菌で発現させたHATタグ付与組換えGMEを同様に反応させたところ、マンノースより移動度が小さいガラクトースの放射活性スポットが検出され、GME活性が確認できたが、その比は約6:1で平衡はマンノース側に偏っていた。GMEタバコの葉のAsc含量はSR1と同程度であった。
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© 2010 日本植物生理学会
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