日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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光化学系IIのquality control:光・熱ストレスやチラコイド膜での存在場所に依存するFtsHプロテアーゼのサブユニット構造
*吉岡 美保中山 洋輔吉田 真理大橋 研介森田 典子小林 英紀山本 泰
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p. 0431

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抄録
光合成光化学系IIの反応中心結合タンパク質D1は、光や熱ストレス下で酸化的ダメージを受ける。損傷D1タンパク質の分解には、チラコイド膜に存在する金属プロテアーゼFtsHが関与していることが示唆されている (Yoshioka et al. 2006)。本研究では、ホウレンソウチラコイド膜におけるFtsHプロテアーゼの分布とサブユニット構造について解析した。クリアネイティブPAGEでチラコイド膜におけるFtsHオリゴマーの存在比を調べると、単量体:二量体:六量体=1.5:1:2であった。これに対して、PSII膜では、六量体FtsHのみが存在していた。六量体FtsHは、2タイプのサブユニットから形成されていて、その構成比は、タイプA (FtsH1/5):タイプB (FtsH2/8)=1:2である。タイプAの抗体(DS9)とタイプBの抗体(VAR2)を用いたウエスタン分析を行ったところ、単量体で存在するFtsHはタイプBのみで、二量体と六量体は、タイプAとタイプBの両方から構成されていた。強光や熱に対するFtsHオリゴマーの安定性の実験では、単量体や二量体が消失する一方で、六量体FtsHはストレスに対して構造を維持していた。これらの結果から、活性型でストレス耐性を持つ六量体FtsHプロテアーゼは、光化学系IIの近傍に存在し、損傷D1タンパク質の速やかな分解に関与していることが示唆される。
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© 2010 日本植物生理学会
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