日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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緑藻クラミドモナスのステート2細胞から単離されたPSI-LHCI-LHCII超分子複合体のアンテナサイズの解析
*高橋 拓子高橋 裕一郎
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p. 0466

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抄録
ステート遷移は、光化学系I(PSI)とII(PSII)の励起のバランスを保ち、電子伝達反応を効率化する機構である。これまでに我々は、ステート2ではPSIIの集光性複合体(LHCII)の一部であるCP26, CP29, Lhcbm5がPSI-LHCI複合体に可逆的に結合し、PSI-LHCI-LHCII(PSI-LHCI/II)超分子複合体を形成することを報告した。本研究では、PSI-LHCI/II超分子複合体に結合するLHCIIの量と機能について解析を行った。単離したPSI-LHCI複合体のP700光酸化量を分光学的に求めると、P700あたりのクロロフィル量はおよそ280であり、PSI-LHCI/IIではPSI-LHCIの約1.25倍に増加していた。また、閃光強度に依存したP700の光酸化の飽和曲線の解析から、PSIに結合するLHCIIがアンテナとして機能していることが示された。さらに蛍光色素によるポリペプチド染色および14Cによるタンパク質ラベル実験により、PSI-LHCI/II超分子複合体を構成するPSIサブユニットとLHCIIサブユニットの量比について解析を行った。その結果、CP26が約1.2コピー、CP29とLhcbm5が約2コピーずつPSIに結合していることが示された。
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© 2010 日本植物生理学会
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