抄録
LOVドメインは、植物、藻類、菌類、バクテリアの青色光受容体の光受容部位であり、発色団としてフラビンモノヌクレオチド(FMN)を結合する。植物のLOVタンパク質としては、フォトトロピンとFKF/LKP/ZTLファミリータンパク質が、光受容体として働いていることが分かっている。植物にはもう一種、PASドメインとLOVドメインから成る、PAS/LOV protein (PLP) と呼ばれるLOVタンパク質が存在するが、生理機能は明らかになっていない。我々はこれまでに、大腸菌で発現させたトマトPLPがFMNを結合すること、光照射によってLOVドメインに特徴的なスペクトル変化をすることを示し、フォトトロピンなどの光受容体と同様な性質を持つことを明らかにしてきた。
トマトPLPに部位特異的変異を導入して調べたところ、LOVドメインのみならず、PASドメインにもFMNが結合することが分かった。また、PASドメインにある66番目のグリシンをシステインに置換したところ、この変異PASドメインは、LOVドメインに特徴的な光依存的なスペクトル変化を示したので報告する。