臨床リウマチ
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バリシチニブ
中山田 真吾田中 良哉
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2023 年 35 巻 3 号 p. 146-152

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抄録

 バリシチニブはJAK1/2を標的とする分子標的合成抗リウマチ薬(tsDMARD)である.関節リウマチ(RA)に対するバリシチニブの第3相臨床試験では,メトトレキサート(MTX)未使用の早期RA,MTXに治療抵抗性のRA,TNF阻害薬に治療抵抗性のRAに対して,いずれもプラセボよりも有意に高い有効性と安全性が示されてきた.特に,MTX治療抵抗性のRAに対しては,内服薬でありながらTNF阻害薬よりも有意に高い臨床効果を示した初めてのJAK阻害薬である.本邦では,既存治療で効果不十分なRA,アトピー性皮膚炎,円形脱毛症,SARS-CoV-2による肺炎に対して,バリシチニブ4mgの1日1回経口投与が承認されている.約7割が腎排泄であり,腎機能に応じて2mgへ減量あるいは回避が必要である.重大な副作用として,感染症,消化管穿孔,リンパ球減少,肝機能障害,間質性肺疾患などがあげられ,バイオ抗リウマチ薬(bDMARD)と同様あるいはそれ以上に十分なスクリーニングとモニタリングのもとで投与すべきである.これまでの臨床試験や市販後調査で蓄積されたバリシチニブの有効性と安全性の知見をもとに,専門医による適正な使用が望まれる.

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© 2023 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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