抄録
土壌の酸性化に伴うアルミニウム(Al)障害は植物の著しい生育阻害を引き起こすため、このストレスに対する遺伝子レベルでの発現応答機構の解明は重要である。そこで我々は、アラビドプシスのAl誘導性遺伝子AtGST11の発現応答機構、特にプロモーター結合性転写調節因子(Transcription Factor ; TF)を介した転写制御について解析している。またこの遺伝子は、重金属ストレスや酸化ストレスでも誘導されるので、これらのストレス間には共通した応答機構が存在するかについても検討することにした。
Alストレス時にAtGST11遺伝子のプロモーターに結合するTFを同定するためにOne hybrid法、Bio panning法を用いてcDNAクローンの単離を行った。得られた4つのTF候補の完全長cDNAを用いてE.coliの中で大量発現させ、これらを用いてゲルシフトアッセイを行った。その結果、4候補ともプロモーター領域と結合することが明らかとなった。これらの中には、putative bZIP transcription factor,やEthylene response element binding factor 2 などが含まれていた。現在、各候補の転写における機能についてパーティクルガンでタバコ細胞BY-2株に導入した後、ルシフェラーゼアッセイで転写活性測定を解析中である。