日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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マンガン超集積性植物コシアブラのファイトマイニングへの利用
*水野 隆文江守 香苗橋本 洋平
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p. 0689

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抄録
植物を用いたレアメタル獲得技術であるファイトマイニングは、ファイトレメディエーション同様超集積性植物の特性を生かした技術として考案された。利用する植物種や産業的収支の点から、これまで報告されたファイトマイニング技術は金やニッケル、コバルトなどに限られているが、今回新たにマンガンを超集積するコシアブラからのマンガン資源獲得について検討した。日本各地に分布するコシアブラ葉のマンガン含有量を検討した結果、半数以上の地点で乾燥重量あたり1%以上、最高2.4%のマンガン超集積性が認められ、コシアブラが普遍的にマンガン超集積性を有していることが確認された。コシアブラ葉を細断し、100倍量の純水もしくは希塩酸を用いて振盪抽出(室温)を行ったところ、いずれの場合も1時間で抽出液中のマンガン濃度が安定し、水で56%、0.1 mol/Lの塩酸ではほぼ100%のマンガンが抽出された。一方、高純度のマンガンを回収する手法として、コシアブラ葉を一度灰化し、硫酸-過酸化水素により液化した後水酸化カリウム等でアルカリ側に調整した。その結果、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムとの分離によって、純度94%のマンガン(二酸化マンガン)を90%以上の回収率で獲得することに成功した。以上により、コシアブラは高純度マンガンを獲得する資源としてファイトマイニングに利用可能であることが示された。
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© 2010 日本植物生理学会
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