日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナにおけるカリウムトランスポーターKUP6を介した浸透圧ストレス応答と成長制御
*刑部 祐里子桂 彰吾有永 直子山田 晃嗣田中 秀典Seo Souk小平 憲祐篠崎 一雄篠崎 和子
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p. 0718

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抄録
植物は浸透圧ストレス下で耐性獲得に重要な物質輸送機構を保持していると考えられる。カリウムイオントランスポーターKUP6は植物、酵母、大腸菌に広く存在するKUP/HAK/KTファミリーに属し、乾燥・塩ストレス条件およびアブシジン酸(ABA)処理で発現が誘導される。KUP6pro:GUSを植物に導入し発現組織特異性を解析した結果、KUP6プロモーターは根の維管束組織で高い活性を示した。KUP6-GFPの植物体における細胞内局在性は細胞膜に局在性を示した。KUP6および相同性遺伝子KUP8の二重変異体kup6kup8は通常の生育条件下で根毛及び側根数が増大しており、さらに、その側根形成はオーキシンに高感受性を示し、ABAおよびオーキシン輸送阻害剤NPAに対し非感受性を示した。さらに、KUP6を恒常的に高発現する形質転換シロイヌナズナの成熟葉は水分損失が低下し、土植えした形質転換体は長期の乾燥ストレスに対し耐性が上昇した。kup6kup8の気孔閉鎖におけるABA応答性は低下しており、成熟葉の水分損失は増大していた。以上の結果より、KUP6は植物体の成長制御および浸透圧ストレス応答に重要な機能を持つカリウム輸送体であることが考えられた。さらに、浸透圧ストレス条件下におけるKUP6の機能とABAおよびIAA応答のクロストークについて解析した結果を報告する。
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© 2010 日本植物生理学会
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