日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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ヒメツリガネゴケATG5遺伝子破壊株を用いたオートファジーの機能解析
*田野 智也東金 賢矢羽田 正人竹澤 大輔森安 裕二
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p. 0717

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抄録
オートファジーは、生物が栄養飢餓状態に陥った際に起こす細胞内の物質を分解するメカニズムのひとつであり、主にautophagy(ATG)タンパク質群によって実行、制御されている。オートファジーは、哺乳動物においては、栄養飢餓条件下での栄養供給や細胞内浄化、免疫などの役割を担っていることが知られている。植物細胞においても似たような機能を果たしていると考えられるが、植物特有の機能も存在すると推測される。これと関連して、シロイヌナズナのATG遺伝子破壊株は早期老化の表現型を示すが、そのメカニズムについてはまだよくわかっていない。
本研究では、オートファジーの植物における生理機能を明らかにする目的で、ヒメツリガネゴケを用いて、ATG遺伝子群のひとつであるATG5遺伝子の破壊株を作製した。ヒメツリガネゴケATG5遺伝子破壊株の原糸体細胞を炭素飢餓培地やリン飢餓培地で培養すると、いずれの培養条件においても緑色の原糸体細胞は野生株よりも早く茶色に変色した。この結果は、シロイヌナズナにおけるのと同様にヒメツリガネゴケにおいてもオートファジーの欠損が早期老化に繋がることを示唆している。現在、飢餓条件下における原糸体細胞の観察を行って、ATG遺伝子破壊株においてオートファジーが欠損しているかを調べている。本発表ではこれらの実験結果について報告する。
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© 2010 日本植物生理学会
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