日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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概日時計の時空間ダイナミクスを記述する数理モデル
*福田 弘和
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p. S0047

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抄録
植物を構成しているほぼ全ての細胞が、自律した概日リズムを形成し、物質拡散などを利用して相互作用している。したがって、植物システムを自律振動する素子(概日振動子)が無数結合した結合振動子系と見なすことができる。結合振動子系は、システム全体を自律的に統制し、様々な時間的、空間的な秩序構造(時空間パターン)を自己組織的に形成する。この振る舞いは、結合振動子モデルで記述することができる。
本発表では、まず時計遺伝子CCA1のプロモーターにルシフェラーゼ遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナCCA1::LUCを用いた概日時計の時空間ダイナミクスの実験について説明する。葉では、細胞集団の同期現象に由来する位相波や、複数のスパイラル波の同時発生なども観察される。興味深いことにこの位相波は葉脈の部分で遅れて伝播する傾向があり、葉脈という形態情報とリンクしている。ここではこれらの時空間ダイナミクスを再現する数理モデルの紹介と、時空間ダイナミクスの数理科学的研究によって見えてくる<植物システムの創発原理>について議論する。
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© 2010 日本植物生理学会
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