日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナDEAD-box RNA helicase 39により23SリボソームRNAに導入されるhidden breakを介した葉緑体翻訳制御機構
*西村 健司蘆田 弘樹小川 太郎横田 明穂
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p. 0077

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抄録
近年、翻訳の触媒中心はリボソーム大サブユニットを構成するリボソームRNA (rRNA) であることが立体構造解析により示された。高等植物葉緑体においてリボソーム大サブユニットの23S rRNAは、部位特異的なプロセシング反応を受け、ギャップ構造を有する不連続なRNA分子種として生成される。その結果、植物細胞から抽出したrRNAは変性条件下において複数の短い断片として検出される。このrRNAに生じるギャップ構造は"hidden break"と呼ばれ、古くから知られている現象であるが、その導入機構や生理的意義はこれまで明らかにされていない。我々は葉緑体タンパク質蓄積に欠陥を持つシロイヌナズナnara12 (the gene necessary for the achievement of RuBisCO accumulation) 変異体を単離解析し、DEAD-box RNA helicase 39が葉緑体のhidden breakの導入において機能することを明らかにした。また変異体解析から、hidden breakがリボソームの翻訳効率に影響することを見出した。さらにタンパク質合成が盛んなプラスチドにおいてhidden breakの導入が高く誘導されることを発見した。以上のことからhidden breakはリボソームの翻訳効率をコントロールする新規な制御因子であることが示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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