日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イネのJA応答性bHLH型転写因子RERJ1の病虫害抵抗性における役割
*岡田 憲典宮本 皓司清水 崇史北島 竜也河本 晃一中条 哲也小澤 理香高林 純示宮尾 安藝雄廣近 洋彦野尻 秀昭山根 久和
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p. 0153

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抄録
ジャスモン酸(JA)は、病原体の感染、傷害、乾燥など様々なストレスにより誘導的に合成される植物ホルモンであり、植物の防御機構において重要な役割を担っている。我々はこれまでにJA応答性のbHLH型転写因子をコードするRERJ1遺伝子の解析を進めてきた。本発表では、イネ個体におけるRERJ1の生理機能を明らかにするため、RERJ1 promoter-GUS形質転換体を用いた発現様式の解析とrerj1-tos17変異体を用いた機能解析の結果について報告する。
組織染色の結果、RERJ1は傷害処理後約15分から傷害部位周辺の狭い範囲で局所的に発現した。一方、持続的なJAの蓄積が見られる乾燥ストレスではRERJ1の発現は葉身全体で認められた。さらに、処理葉のJA量を測定したところ、JAの蓄積とレポーターの発現部位はよく一致していた。rerj1-tos17変異体を用いたJA処理後のマイクロアレイ解析を行ったところ、プロテイナーゼインヒビター遺伝子やモノテルペン生合成遺伝子などの病虫害抵抗性関連遺伝子群のJA応答性が抑制されていた。これらの結果は、RERJ1が傷害部位などのJA蓄積に応じて一過的に発現し、病虫害抵抗性遺伝子の発現誘導に関与することを示している。現在、rerj1-tos17変異体を用いた虫害抵抗性試験を進めており、イネの虫害抵抗性におけるRERJ1の寄与についても考察したい。
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© 2011 日本植物生理学会
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