日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イネのSHORT GRAIN 1遺伝子は器官の伸長を抑制するだけでなくブラシノステロイドに対する応答も抑制する
*中川 仁田中 惇訓七夕 高也藤岡 昭三森 昌樹
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p. 0210

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抄録
我々は既に、イネの短粒遺伝子SHORT GRAIN 1 (SG1)の器官サイズのコントロールにおける機能について報告している。SG1は主に根や幼穂で発現しており、過剰発現すると種子等の器官が短くなり短粒半矮性の表現型を示す。対照的にRNAiによるSG1とその相同遺伝子SGL1の発現抑制は、枝梗の節間や種子の伸長(長粒化)を引き起こす。SG1:OXの矮化した器官での細胞サイズは変化しないので、SG1は細胞増殖の抑制を介して枝梗の節間や種子の伸長を抑制すると考えられた。一方、SG1:OXの表現型は、半矮性で幅広濃緑色の直立した葉身を持つなどの点でブラシノステロイド(BR)欠損変異体と類似していた。しかしながらSG1:OXでのBRの生合成レベルはWTと同等であった。
そこで本研究では、SG1:OXイネのBRに対する応答が変化しているかどうか調べた。BRに対する応答をラミナジョイントテストにより調べたところ、SG1:OXイネはBRに非感受性になることが示された。またSG1:OXでは、BU1, OsBLE2, OsBLE3等のBR誘導遺伝子のBLによる誘導が抑制されていた。SG1:OX及びRNAiイネの表現型、発現等の知見を総合すると、SG1の本来の機能は、BR応答の抑制を介して枝梗の節間や種子の伸長を抑制することであると考えられた。
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© 2011 日本植物生理学会
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