抄録
多くの植物種において、13位水酸化ジベレリン(GA)と13位非水酸化GAの存在が報告されている。この13位水酸化の生理的な役割はいまだ明らかになっていない。これまでに我々はGA13位水酸化活性を持つ二つのシトクロムP450酵素遺伝子をイネから見いだした。イネ二重変異体幼苗のGA内生量を分析した結果、13位水酸化活性型であるGA1が著しく減少しており、逆に13位非水酸化活性型であるGA4が増加していることを明らかにした。今回GA13位水酸化酵素一重変異体および二重変異体についてさらに解析を行った。各一重変異体のGA内生量を分析したところ、13位水酸化型中間体及び活性型GA量に二重変異体で見られたような著しい影響はみとめられなかった。さらに出穂期の二重変異体の茎および葉身のGA内生量を分析したところ、幼苗の分析結果と同様に13位水酸化GAの著しい減少が見られた。以上の結果から両P450遺伝子はイネにおけるジベレリン13位水酸化の主要な酵素遺伝子であると考えられる。