抄録
コンポスト,木くず,稲わらというバイオマス資材を圃場の土に混入したとき,これが土の三相分布,硬度,保水性や透水性に及ぼす影響を実験的に検討した。岩手大学内圃場(クロボク土)に見かけの体積比で, 10:1,10:2, 10:3となるように各資材をすき込んだ。混入して約1年後,全区画から各3個の試料を100ccサンプラーにて採取し,変水頭透水試験の後,吸引法,遠心法により水分特性曲線を求めた。また各成分の密度を用いて,試料の三相分布と乾燥密度を得た。一方,現地区画での土壌硬度を山中式硬度計により求めた。全般的に,バイオマス資材の混入により全区画で土壌硬度と乾燥密度は低下し,これは試料中の固相率減少によることが分かった。また土壌硬度と乾燥密度のデータ間にも良い相関関係が見られた。透水係数についても多くの場合,混入率の増加に応じて増大した。これも固相率の減少に起因するものと考えられる。同様の理由により水分特性曲線も影響を受け,体積含水率は増加した。ただしその変化の程度と傾向は資材の種類により異なるものであった。