日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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気孔閉口に関与するAtALMT12輸送体
*佐々木 孝行森 泉古市 卓也宗正 晋太郎豊岡 公徳松岡 健村田 芳行山本 洋子
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p. 0402

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抄録
植物では気孔開閉により二酸化炭素の吸収や水の蒸散が制御されており、それはいくつかのイオンチャネルによって調節されている。私たちは、コムギのアルミニウム(Al)活性化型リンゴ酸輸送体TaALMT1のシロイヌナズナにおける相同遺伝子であるAtALMT12が、気孔を構成する孔辺細胞で特異的に発現することを見出した(Plant Cell Physiol. 2010)。野生系統ではCaやABA処理により誘導される気孔閉口が、AtALMT12ノックダウン系統では抑制されており、この表現系はAtALMT12形質転換により相補された。一方で、明条件下においてノックダウン系統の気孔開口の応答は野生系統と同様に見られた。さらに、Xenopusオーサイト発現系を用いた電気生理的測定では無機アニオンの輸送活性が認められた。また、パッチクランプによりAtALMT12ノックダウン系統での気孔アニオンチャネル活性に差は無かったが、最近Meyerら(Plant J. 2010)はAtALMT12を気孔のRタイプアニオンチャネルであると報告している。これらのことから、AtALMT12は気孔閉口を調節するアニオン輸送体と考えられた。このように、当初Al耐性に関わるリンゴ酸輸送体として発見されたALMTだが、ALMTタンパク質ファミリーは、植物におけるアニオン輸送体として生理的役割に多様性を示すことが明らかとなった。
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© 2011 日本植物生理学会
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