日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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高CO2条件下におけるシロイヌナズナDof1形質転換体の栄養応答
*佐藤 滋柳澤 修一
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p. 0463

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抄録
近年著しく増加する大気中のCO2濃度は、今世紀末には現在の約2倍に到達すると推定され全世界的な問題となっている。一方で、このCO2濃度の上昇は光合成量を増大させて農作物の収量の増加やバイオ燃料などの有用物質生産量の増加に結びつく可能性も期待される。しかしながら、一部の植物では高CO2条件下で育成しても光合成速度には向上は見られない上に窒素同化能力が抑制されることが知られている。我々は、今までに窒素同化に必要な炭素骨格の生合成経路の酵素遺伝子の発現に関わるトウモロコシ転写因子Dof1を発現しているシロイヌナズナ形質転換体において、培地中のアンモニアイオンと光エネルギーが十分な場合には窒素同化と同時に炭酸固定の活性化、さらには硫黄同化の促進が観察されることを報告してきた。ここでは、CO2濃度の変化がDof1形質転換体における窒素同化と炭酸固定の活性化および硫黄同化の促進にどのような影響を及ぼすかについてターゲットメタボローム分析によって明らかにし、遺伝子工学によってもたらされた窒素同化能力の強化が植物の高CO2応答に及ぼす影響について議論する。
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© 2011 日本植物生理学会
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