日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
微小外傷の関与が示唆された膝窩動脈外膜嚢腫の1例
初音 俊樹森 義雄河合 憲一滝谷 博志
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2013 年 22 巻 1 号 p. 37-39

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抄録
要  旨:膝窩動脈外膜嚢腫は稀な疾患であり,その成因は正確には解明されていない.外傷の関与が示唆された外膜嚢腫の1症例を経験した.症例は53歳,男性.仕事中に突然の右下肢脱力感,疼痛が出現した.症状が軽快せず,発症4日目に近医を受診し,右下肢のankle brachial pressure index(ABI)の低下,皮膚温の低下を認めた.動脈閉塞の疑いで当院に紹介された.造影CT検査にて右膝窩動脈の3 cm長の閉塞を認めた.待機手術予定となったが,次第に自覚症状は消失した.Magnetic resonance imaging(MRI)で膝窩動脈外膜嚢腫と診断した.手術は,外膜嚢腫を含め膝窩動脈を切除し,大伏在静脈にて置換した.術後,下肢症状は認めず,ABIは改善した.病理組織診にて,弾性版の断裂像を認め,外膜嚢腫の成因として,外傷の関与が示唆された.
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