2024 年 39 巻 2 号 p. 168-199
本研究では,「京/富岳」を中核とする革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)利用研究成果への産業界からの関心動向に関する分析を行った。これまで産業界によるHPCI利用報告書のダウンロード(DL)分析では産業利用課題を対象にしてDL企業の業種を東京証券取引所の分類に従って分類し,且つDL数を基盤(ベース)としていた。本研究では産業利用課題以外の学術研究課題の利用研究成果を含めるとともに,以下の新しい視点・手法を導入した;(1)DL企業数ベースでも分析しDL数ベースの結果との比較を行った。(2)産業利用課題およびそれ以外の課題の利用報告書の,実施年度,課題の種類が異なっても比較可能な注目度評価指標を導入した。これらによって,HPCI利用研究成果は産業利用,学術利用を問わず,産業界から,それぞれの業種の実情に応じて幅広く注目され普及している状況を定量的に明らかにすることが出来た。