日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナ培養細胞におけるコドンが遺伝子発現に及ぼす影響
*鈴木 孝征品川 智美
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p. 0542

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抄録
発現量の多いmRNAは特定のコドンを用いる傾向があることはシロイヌナズナを含む様々な生物において知られている。このことはmRNAが多い遺伝子はタンパク質が多く必要とされている遺伝子であり、翻訳の効率を上げるためにコドンが最適化されていると解釈されている。私たちは逆の可能性、つまり翻訳に適したコドンはmRNAの安定化に寄与する可能性を考え、研究を行っている。
コドンと遺伝子発現の関係を解析するために、高発現遺伝子で多く見られるコドンからのみなるルシフェラーゼ遺伝子(opLuc)を合成し、よく使われているルシフェラーゼ(ここでは40Lucと参照)と比較した。それぞれをシロイヌナズナの培養細胞株T87にアグロバクテリウムを介して導入し、形質転換体を得た。RNAを抽出し発現量を調べたところ、opLucのほうが高い発現を示した。また活性、タンパク質量ともopLucのほうが高かった。一方こうしたopLucの高発現はゲノム中のコピー数とは関連がなかった。転写速度を測定したところopLucと40Lucで有意な差はみられなかった。これらのことからコドンの最適化によりmRNAが安定化し、遺伝子の高発現につながっていると考えられた。
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© 2011 日本植物生理学会
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